2022年度実験実績等


小型飛行ロボット自律飛行制御実験

  • 実施団体:電気通信大学情報理工学部 田中研究室
  • 実施期間:4月21日から5月9日、8月16日から9月9日

 近年、災害発生時などの極限環境の中でも空からの活用が期待できる無人航空(Unmanned Aerial Vehicle) が注目されています。同研究室では、スマートにミッションを遂行する自律飛行ロボット「スマート飛行体」の開発に関する研究を行っており、平成23年より大樹町で実験を行っております。
 今年度も引き続き、低速・低高度でも安全に飛行可能な「パラグライダー型 UAV」、低コスト高パフォーマンスな「固定翼型 UAV」、ホバリング飛行が可能な「垂直離着陸無人機 VTOL」の3種類の機体を使用し、当研究室で設計した制御系の検証や自動飛行用ナビゲーションシステムの検証、上空からの情報収集システムの検証などを行いました。

 

 

 

フットプリント固定技術を活用した高高度係留気球基地局の実証

  • 実施団体:ソフトバンク株式会社
  • 実施期間:4月21日から5月20日
 上記日程で、ソフトバンク株式会社による高高度係留気球を使った通信実験が行われました。
 高度249mまで気球を上げ、搭載した機器によって、これまでより広い範囲で安定した通信ができることを確認しました。

 今後、ノウハウやデータを災害時の通信復旧やHAPS(High Altitude Platform Station)の通信プラットフォーム構築に活用することを検討していきます。
 詳細については以下からご覧ください。
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2022/20220622_01/

 

 

 自社製LoRa通信基板の高高度放球による実機検証

  • 実施団体:株式会社岩谷技研
  • 実施期間:5月19日

 “NearSpaceからの宇宙旅行” を目指す旅客技術開発会社、株式会社岩谷技研による通信基板の放球試験が実施されました。
 本試験は改良版の自社製通信基板による通信動作検証を目的としたもので、3月末に最高高度18.2kmからの受信を成功した後、プログラムを更に最適化した新基板による、より分解能が高く安定した信号受信の実現を目指したものです。
 試験結果としては、最高高度33.1km、北海道スペースポートからの水平距離は83kmに到達し、打ち上げ直後から着水直前(海上430m付近)まで信号を受信し続けることに成功し、今回の実験により株式会社岩谷技研が構想している宇宙遊覧高度(25km)を超える高度からでも問題なく無線信号を受信できることを実験的に確認することができました。なお、本実験に使用された機材(生分解性カプセルとゾンデ気球)については、どちらも微生物により自然に還る材質でできています。
 今後、大樹町とより密接な連携・協力体制を構築し、高高度有人飛翔試験実施に向け、通信機器の試験をはじめ、気密キャビン並びにプラスチック気球の実証実験を頻繁に行う予定です。

 

 

小型無人機の自律飛行・ミッション性能向上技術の研究

  • 実施団体:JAXA航空技術部門
  • 実施期間:5月26日から6月3日、6月26日から7月1日、8月3日から11日、11月5日から15日

 「固定翼」や「VTOL」無人機は、マルチコプタに比べ高速かつ長距離/長時間の飛行を可能とするため、広範囲の災害情報収集や遠隔地への物資輸送などへの応用が期待されていますが、操縦や運用の難易度が高いため、現時点では本格的な利用には至っておりません。そこで、本研究において、長距離/長時間飛行用の自動化技術及びミッション飛行性能向上技術を開発・実証し、小型無人機の利用促進・拡大を可能とするとともに、国内産業の国際競争力強化に貢献することを目指し、今年度は、「固定翼」においては飛行試験により、自動着陸技術(特に横風時)及び飛行計画自動生成機能の評価・改良、「VTOL」においては自動遷移(高速域)及び自動着陸の評価・改良を行いました。

 

 

大気球実験

  • 実施団体:JAXA大気球実験グループ
  • 実施期間:5月16日から8月26日
 今年度の大気球実験では、「気球工学実験(新バラスト搭載法の飛翔試験)」と「新型大気圏突入カプセルの飛行試験(RERA)」が行われ、全ての実験が無事終了し、海上に着水した気球及び搭載機器の一部は、大樹町の漁業者のみなさんの協力を得て回収されました。

 また、当初予定されていた「火星探査用飛行機の高高度飛行試験」は、実験計画期間中に気球飛翔運用に適した高層風を得られる見込みがなくなったため、今年度の実施が見送りとなりました。

 

 

航空機用新装備品の通信実験

  • 実施団体:ナビコムアビエーション株式会社
  • 実施期間:7月11日から14日、9月30日から10月1日
 ナビコムアビエーション株式会社は、地球のあらゆる場所で安定した通信を提供するイリジウム衛星による通信サービスを提供しています。このほど、新たなイリジウムNEXT衛星による通信サービス「IridiumCertus(イリジウムサータス)」が提供開始され、大容量のデータ通信が可能となったことから、ヘリコプターや小型航空機への実装を進めようと実験を行いました。
 今回は小型航空機に専用の通信装置を持ち込み、飛行中も比較的安定した動画が伝送できることを確認しました。
 新たな通信装置は、官公庁のヘリコプターなどへの搭載が見込まれ、普及すれば、これまで不可能だった地上系通信網が利用できない山岳地帯上空や洋上などからの動画送信が可能となり、災害時の情報収集、捜索救難、警備警戒、報道など多岐にわたり活用されることが期待されています。

 

 

MMX-SRCヘリコプタからの投下実験

  • 実施団体:JAXA研究開発部門
  • 実施期間:7月18日から22日
 現在、JAXAでは火星衛星探査計画(MMX)におけるサンプルリターンを計画しています。本ミッションでは「はやぶさ」や「はやぶさ2」と同様に地球へ帰還するサンプルリターンカプセル(SRC)を開発していますが、SRCの直径が1.5倍の60cm程度となるため、パラシュートのサイズやパラシュート放出機構も大型化します。パラシュートの放出性能はSRCの鍵技術ですが、地上の風洞試験では実環境を模擬することが困難であり、フライト実験による実証が重要であることから、本実験において、ヘリコプタからのSRC供試体投下実験を実施し、自由飛行環境におけるパラシュートの放出性能、展開挙動、及び減速性能の検証を行いました。
 
 
 

空中捕獲用パラフォイルのヘリコプタからの投下実験

  • 実施団体:JAXA研究開発部門
  • 実施期間:7月23日から25日

 現在JAXAでは、回収カプセルや基幹ロケット、観測ロケットのコスト削減と利便性向上を目的に、ヘリコプタによる空中捕獲システムについて、システム検討を行うとともに要素技術の試作・開発を進めています。
 本実験では、空中捕獲用として開発を進めている捕獲用ミニパラシュートを取り付けたパラフォイル(風をはらむことで揚力を生み出すことが可能な布製の翼のこと。パラグライダーなどに用いられています。)のヘリコプタからの投下実験を行い、自由飛行環境下でのミニパラシュート付パラフォイルの空力性能及び安定性の評価を行いました。なお、今回の実験ではミニパラシュート付パラフォイルの投下のみを行い、今回の結果を踏まえて、来年度以降にヘリコプタによる回収に取り組む予定です。

 

 

東海大学・岐阜大学 空間光通信と大気揺らぎ計測実験

  • 実施団体:東海大学・岐阜大学
  • 実施期間:8月15日から19日
 東海大学情報通信学部の高山研究室、岐阜大学流域圏科学研究センターの玉川研究室、岐阜大学工学部・地方創生エネルギーシステム研究センターの小林・吉野研究室および吉田・亀山研究室は共同で、上記期間に、空中にレーザ光を伝送して行う通信と、通信経路周辺の大気揺らぎの計測実験を実施しました。
 本実験は、学術変革領域研究(A)「散乱・揺らぎ場の包括的理解と透視の科学(散乱透視学)」における「A03-7空間光伝搬通信における散乱・揺らぎ計測と制御」の一環となる活動です。
 実験の成果は、将来の高速通信の技術と、解明・克服できていない散乱揺らぎ場の理解に貢献します。
 詳細については以下からご覧ください。

https://www.org.kobe-u.ac.jp/scattering_clairvoyance/

 

 

空中風力発電のための凧制御試験

  • 実施団体:JAXA航空技術部門
  • 実施期間:9月5日から9日

 地球温暖化や不安定な国際情勢から、エネルギの自給自足は日本国内の最重要課題の一つであると言えます。また、高高度における良好な風力を、日本国内で利用可能なエネルギに変換できれば、その課題を解決する手段の一つになり得ます。このような背景から、欧米を中心として、索と飛行体、いわゆる凧による空中風力発電の研究が進められていますが、欧米で開発の進む方式は、日本国内で必ずしも利用可能な方式ではありません。
 そこで本研究では、日本国内の「社会受容性」、「気象」、「地形」を考慮した空中風力発電の開発を行い、日本国内において有効な発電手段となり得る空中風力発電の技術開発のため、本試験において空中風力発電の鍵技術である凧の自動制御手法の獲得を目的とし、凧制御ユニットによる凧の飛行試験を行いました。具体的には、JAXAハンドリングエリア及び滑走路を、トラック荷台に凧制御ユニット及びウィンチを載せ走行し、凧を牽引しながら制御機構の動作及び制御方法を構築するとともに、索に働く張力及びユニットに働く力を計測しました。

 

 

ハイミューロータ飛行実証

  • 実施団体:JAXA航空技術部門
  • 実施期間:9月20日から10月1日

 救急医療や大規模災害にヘリコプタの高速化が資するとされており、その方法の一つとして、ヘリコプタに主翼を備えた複合化があります。JAXAでは、複合ヘリコプタの研究を実施し、在来ブレードの高速性能より35%増となる最適なメインロータ形状、ロータ面の揚力の中心をずらすリフトオフセット技術等を開発してきました。これまで数値解析を用いて空力設計を行い、模型機の風洞試験により数値解析の検証を行ってきましたが、今回、模型機を用いた飛行試験を行うことで、高速飛行に最適なハイミューロータの高速前進飛行性能、ホバリング性能及びリフトオフセット技術による高速前進飛行性能の向上などの実証を実飛行条件下で行いました。

 

 

パイロット状況認識支援システムの研究開発(SAVERH-PRO2)

  • 実施団体:JAXA航空技術部門
  • 実施期間:10月10日から28日

 JAXA航空技術部門では、ヘリコプタを使った災害救援や捜索救助を、夜間や悪天候時にも安全に実施できるようにするため、コクピットやヘルメットのバイザにわかりやすく飛行情報を見せる技術「SAVER」を開発しています。今年度は、新方式のカメラの評価(複数カメラの合成による全周囲視界の確保による有効性評価及びこれまでの長赤外に加えて近赤外・中赤外カメラによる有効性評価)などの課題に取り組みました。

 

 

小型超音速実験機関連実験

  • 実験団体:室蘭工業大学
  • 実施期間:11月21日から28日

 室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センターで研究・開発中の小型超音速飛行実験機「オオワシ2号」の縮小機体(翼幅0.8m、全長2.4m)を用いた「機体にはたらく空気力測定実験」が実施されました。
 本試験ではワゴン車の屋根上または前方にオオワシ2号機縮小機体を設置し、滑走路上を走行して機体にはたらく空気力の測定を行いました。
 大樹町での実験は2023年の実用化を目指した超音速飛行機「オオワシ」の研究・開発の一環として行われており、オオワシは将来的に最高速マッハ2で飛行し、災害時の状況把握や物資輸送などに活躍する予定です。

 

 

固定翼UAVによる物資投下実験のための飛行計測

  • 実施団体:国立情報学研究所
  • 実施期間:2月7日、8日
 国立情報学研究所は固定翼UAVを用いた飛行試験を行いました。
 本試験は、固定翼UAVがサイバー攻撃を受けた際の固定翼UAVや機体が運ぶ運搬物の輸送安全性を高めることを目的としたものです。
 実験では、固定翼UAVが滑空時のテレメトリーデータや高度情報を取得することにより、安全性を高めるモデル生成に必要なデータを取得しました。
 試験結果は、固定翼UAVを用いた輸送時のフェイルセーフ機能として活用できるように結果の取りまとめやデータ分析、モデル化が行われる予定です。
 
 

 

 ハイブリッドロケット打上実験

  • 実施団体:東海大学学生プロジェクト
  • 実験期間:2月27日から3月2日
 東海大学は2004年から町内で実験を行っていますが、新型コロナウイルスにより活動が制約されていたこともあり、5年ぶりの打ち上げ実験を行いました。
 今回は学生のロケット打上げ経験を得るとともに、確実な打上げとロケット回収後の解析により、数年後の超音速機につながる技術実証を行うことが目的でした。
 打ち上げは無事成功し、打上げ後9.32秒で高度416.45mまで達し、その後、パラシュートを開傘させ、射点から北東に300mの地点に落下、機体を回収しました。
 今回の実験で最終目標である高度100km以上の機体開発に向けた貴重なデータを得ることができました。
 
 

 

問い合わせ先

問い合わせ先 大樹町役場企画商工課航空宇宙推進室推進係
住所 北海道広尾郡大樹町東本通33
電話 01558-6-2113(直通)
FAX 01558-6-2495
メール uchu@town.taiki.hokkaido.jp

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