2021年度実験実績等


小型飛行ロボット自律飛行制御実験

  • 実施団体:電気通信大学情報理工学部 田中研究室
  • 実施期間:4月22日から5月9日、8月6日から31日
 近年、災害発生時などの極限環境の中でも空からの活用が期待できる無人航空(Unmanned Aerial Vehicle) が注目されています。同研究室では、スマートにミッションを遂行する自律飛行ロボット「スマート飛行体」の開発に関する研究を行っており、平成23年より大樹町で実験を行っております。
 今年度も引き続き、低速・低高度でも安全に飛行可能な「パラグライダー型 UAV」、低コスト高パフォーマンスな「固定翼型 UAV」、ホバリング飛行が可能な「垂直離着陸無人機 VTOL」の3種類の機体を使用し、自動離着陸や改良したコントローラによる自動制御、上空からの情報収集などの実験を行いました。
 

「空飛ぶクルマ」 の飛行試験

  • 実施団体:株式会社SkyDrive
  • 実施期間:5月11日から13日、5月27日から7月28日

小型無人機の自律飛行・ミッション性能向上技術の研究

  • 実施団体:JAXA航空技術部門
  • 実施期間:6月16日から27日、7月4日から11日、10月6日から15日、10月25日から29日

 「固定翼」や「VTOL」無人機は、マルチコプタに比べ高速かつ長距離/長時間の飛行を可能としますが、操縦や運用の難易度が高いため、現時点では本格的な利用には至っておりません。そこで、本研究において、長距離/長時間飛行用の自動化技術及びミッション飛行性能向上技術の開発・実証を目指し、今年度は、「固定翼」においては飛行試験により、自動着陸技術及び飛行計画自動生成機能の評価・改良、「VTOL」においては自動遷移(高速域)及び自動着陸の評価・改良を行いました。

観測ロケット「ねじのロケット MOMO7号機」打上げ実験

  • 実施団体:インターステラテクノロジズ株式会社
  • 実施期間:7月3日

 今回インターステラテクノロジズ株式会社により打上げられた「ねじのロケット」は、昨年の打上げ実験延期から約1年かけて全面改良が行われた観測ロケットMOMOの改良版「MOMOv1」と呼ばれる機体であり、MOMOv1の機体での打上げは今回が初でした。
 当日は天候にも恵まれ、17時49分に打上げられたMOMO7号機は、宇宙空間である高度約100kmに到達し、2度目の打上げ成功となりました。
 今回の宇宙空間到達は、観測ロケットMOMOの能力増強やより高い打上げの信頼性を実現し、ロケットの量産化・商業化に向け大きく前進しました。

 

大気球実験

  • 実施団体:JAXA大気球実験グループ
  • 実施期間:5月17日から8月25日
 今年度の大気球実験では、「極薄ペロブスカイト太陽電池の気球飛翔」と「高精度変位計則装置の実証」、「成層圏における微生物捕獲実験」が行われ、全ての実験が無事終了し、海上に着水した気球及び搭載機器は、大樹町の漁業者のみなさんの協力を得て回収されました。

 また、当初予定されていた「火星探査用飛行機の高高度飛行試験」と「気球VLBI実験」は、実験計画期間中に気球飛翔運用に適した高層風を得られる見込みがなくなったため、今年度の実施が見送りとなりました。

 

ドローンの高高度飛行試験

  • 実施団体:NTTアドバンステクノロジ株式会社
  • 実施期間:7月12日から14日
 上記日程で、NTTアドバンステクノロジ株式会社による「ドローンの高高度飛行試験」が行われました。今回の試験は、誘雷・雷観測に利用するドローン開発のため、対流圏(雷雲の上限)内の飛行実現性を確認するため、高度10kmまでの飛行性能を確認するとともに、雷雲内飛行計画を作成できるデータの収集を目的として実施されました。
 本試験では、下記項目について確認しました。
 ・飛行高度と飛行経路、飛行可能時間
 ・低温度(-50℃程度)、低気圧低空気密度(250hPa)での飛行性能確認
 ・現行技術でのドローンでのペイロード推定
 
 
 

観測ロケット「TENGAロケット MOMO6号機」打上げ実験

  • 実施団体:インターステラテクノロジズ株式会社
  • 実施期間:7月31日

 7月3日のMOMO7号機に引き続き今月2機目の打上げ実施となったMOMO6号機は、17時ちょうどに打上げられ、恵まれた天候の中エンジン音を響かせながら力強く上昇し、高度約92kmに到達、打上げは成功となりました。
 今回の打上げ実験により、2機連続、合計3度目となる宇宙空間到達を成し遂げました。
 また、国内の民間初となる「宇宙空間へのペイロード(荷物)放出と回収」、機体内部からのライブ配信にも成功しました。

 

航空機用新装備品の通信実験

  • 実施団体:ナビコムアビエーション株式会社
  • 実施期間:8月2日から6日

 GPSや衛星通信を利用した航空機運航支援システムを開発しているナビコムアビエーション株式会社が、モーターグライダーを利用した飛行実験を行いました。
 同社は、JAXAD-NETから技術移転を受け、総務省消防庁が導入している集中管理型消防防災ヘリコプター動態管理システムなどを開発しており、今回は、現在開発中の新機能を備えたシステムの有効性や操作性を確認するため、モーターグライダーを用いて実証実験を行いました。
 このシステムは、航空機から送信された情報を地上局のモニターに表示された電子地図上に位置や航跡等をリアルタイムに表示することができ、航行中の複数の航空機の情報を一元的に管理することができます。また、地上局と航空機間で文字メッセージや目的地などの情報通信を行うこともできるため、目的地が明確になる前に出動し、より早く到着することができます。さらに、現在準備中の新しいイリジウム衛星通信システムでは映像伝送も可能となり、航空機の運航にさらなる安全を提供できると期待されています。
 今回の実験は現在開発中の新機能を備えたシステムの有効性や操作性を確認するためのもので、様々な有用な実験データを取得することができました。

 

 

滑走路異物監視システム性能評価試験

  • 実施団体:国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所
  • 実施期間:8月23日から27日
 電子航法研究所では空港滑走路の安全性向上と使用効率の改善のため、滑走路異物を自動的に検出する滑走路異物監視システムの研究開発を実施しています。
 今回は多目的航空公園において、滑走路異物監視システムの主たるセンサであるミリ波レーダの評価試験を実施しました。ミリ波レーダの設置高さや、異物の位置・角度を変化させて検出結果を取得し、実際の空港へ設置する際の基準となるデータを取得しました。
 今回の試験結果を今後の空港施設整備に活用していくために、結果の取りまとめやデータの分析が行われる予定です。

 

火星衛星探査計画(MMX)搭載LIDAR EM性能確認試験

  • 実施団体:JAXA宇宙科学研究所
  • 実施期間:9月6日から10日

 火星衛星探査計画(MMX)では、火星衛星の起源や火星圏の進化の過程を明らかにすることを目的として、火星の衛星フォボスを観測し、サンプルを採取して地球に帰還する計画です。
 レーザ高度計(LIDAR)は、対象天体に向けてレーザを発射して、レーザ光の往復時間を測定することによって、探査機と天体表面との距離(高度)を測定する装置です。「はやぶさ」、「はやぶさ2」にも同型のLIDARが搭載されましたが、MMX搭載のLIDARでは、より高出力なレーザと、より高感度な受信機を使うことによって、測定距離を100km(「はやぶさ2」の4倍)まで延ばしています。特に、受信機は2014年、2015年に大樹町で性能確認試験を行って開発した集積回路”LIDARX”によって高感度化が達成されています。
 今回、LIDARのエンジニアリングモデル(EM)の機能、性能等を確認することを目的として、レーザ高度計EMを滑走路上に設置し、滑走路上約1km離れた位置に設置したターゲットに向けて1Hzでレーザを照射し、ターゲットを滑走路直線方向に1km付近から数十mまで動かし、レーザ高度計の動作及び性能の確認を行いました。

 

救難ヘリコプタ用状況認識支援システム(SAVERH)センサ・表示システム飛行実験

  • 実施団体:JAXA航空技術部門
  • 実施期間:10月12日から11月4日

 JAXA航空技術部門では、ヘリコプタを使った災害救援や捜索救助を、夜間や悪天候時にも安全に実施できるようにするため、コクピットやヘルメットのバイザにわかりやすく飛行情報を見せる技術「SAVER」を開発しています。今年度は、新方式カメラ:複数カメラの合成による全周囲視界の確保及び同有効性の評価などの課題に取り組みました。

 

ヘリコプタの安全性・利便性向上 ー障害物検知の飛行実験ー

  • 実施団体:JAXA航空技術部門
  • 実施期間:10月12日から11月4日

 様々な地形環境下で救援任務等を行うヘリコプタは、低速・ホバリング時の地形等の地上障害物への衝突事故が多く、衝突を自動回避する技術を確立し、救助活動や物資輸送等におけるヘリコプタの飛行安全を向上させるため、今年度は、障害物マップの作成方法を改良し、その性能向上の確認を行いました。

 

小型超音速実験機関連実験

  • 実施団体:室蘭工業大学
  • 実施期間:11月20日から27日
 室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センターで研究・開発中の小型超音速飛行実験機「オオワシ2号」の縮小機体(翼幅0.8m、全長2.4m)を用いた「機体にはたらく空気力測定実験」が実施されました。
 本試験ではワゴン車の屋根上または前方にオオワシ2号機縮小機体を設置し、滑走路上を走行して機体にはたらく空気力の測定を行いました。
 大樹町での実験は2023年の実用化を目指した超音速飛行機「オオワシ」の研究・開発の一環として行われており、オオワシは将来的に最高速マッハ2で飛行し、災害時の状況把握や物資輸送などに活躍する予定です。

 

無人航空機の寒冷地飛行試験

  • 実施団体:三菱重工業株式会社
  • 実施期間:1月31日から2月3日
 上記日程で、三菱重工業株式会社が寒冷地におけるヘリ型無人航空機の飛行性能データ取得のための飛行試験を実施しました。
 国内においてドローンを飛行させる施設が少ない中、低温環境下での飛行性能データや知見を得ることに当町多目的航空公園が貢献しました。
 得られたデータや知見は今後のドローン社会実装に向けての開発加速に活かされることが期待されます。

 

問い合わせ先

問い合わせ先 大樹町役場企画商工課航空宇宙推進室推進係
住所 北海道広尾郡大樹町東本通33
電話 01558-6-2113(直通)
FAX 01558-6-2495
メール uchu@town.taiki.hokkaido.jp

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