HASTICセミナー「宇宙開発の新しい流れは北海道から」主な講演内容

 NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)(札幌市)によるセミナー「宇宙開発の新しい流れは北海道から」が、2005年11月24日午後2時から大樹町経済センター2階多目的ホールで開催されました。
 セミナーの主な内容を記載します。≪開催案内≫
セミナー1「宇宙開発の新しい視点」
HASTIC理事長 秋葉鐐二郎氏

 国など大きな組織はどうしても小回りがきかないし、経費も大きくなる。大学・民間が開発すると小型、安価なものが出来る。
 小型衛星や永田先生が取組むハイブリッド・ロケットが良い例である。

 アメリカでは民間による宇宙飛行をスペース・シップ・ワンが成功している。
 宇宙に行くにはロケットでなければ行けないという先入観を打ち破り、飛行機で飛立ち高いところでロケットを使って百数十キロに上がる。
 ロケットの打上げは花火を見るつもりなら良いが、宇宙へ行くために頻繁になると音がたまらない。飛行機型であれば空港と同じように数多く打ち上げられる。こう考えるのがこれからの方向だ。
 
 大樹町は新しい形の打上げ場として脚光を浴びる時期に来ていると考える。
 
 秋葉HASTIC理事長
 会場の様子
セミナー2「サブオービタル有人飛行の可能性」
HASTIC専務理事 伊藤献一氏

 オービタルとは人工衛星のように地球の周りを周回すること、サブオービタルは地球を周回しないけれども宇宙に到達して戻ってくるもの。
 宇宙は地上から100km以上を言うが、人間が乗ってサブオービタルで100kmの宇宙へ行くということを昨年スペース・シップ・ワンが成功している。
 これは何に使うかというと、宇宙遊覧である。
 サブオービタル飛行は既にアメリカで商業化している。チケットを販売していて日本で買った人もいる。
 観光に限らず微小重力実験などに利用も出来る。
 サブオービタル飛行を日本国内で出来ないか、宇宙港が出来ないか、大樹町の滑走路を活用しての可能性を研究していく。

 日本の旅行代理店でも宇宙旅行を売り出している。3分間の宇宙旅行で1,000万円と言われている。

 水平離着陸方式だと普通の空港が使え、帯広空港なら可能である。
 ロケットプレーン社のXP機は、機体にジェットエンジンとロケットエンジンを組み込みジェットで飛立ち上空でロケットに切り替える方式で、実現性が高い。
 ロケットプレーン社のXP機で高度100kmまで上がると丁度ここから稚内まで見え、北海道を一望できる。
 第1に観光、第2に無重力実験、第3に広域観測、第4に二段目のロケットを搭載して衛星を打ち上げる。

 日本でサブオービタル飛行を実現するには法律の整備が必要で、飛行機のように安全保障はなしで、自己責任で乗ってもらうシステムが必要となる。
 HASTIC伊藤専務理事 
 サブオービタル機
セミナー3「ハイブリッド・ロケットの将来」
北海道大学大学院助教授 永田晴紀氏

 宇宙開発は、技術開発による挑戦、夢の共有の時代は終わり、商品開発・サービスの提供を通じて社会との繋がりをもつことが重要となっている。

 魅力的な商品・サービスを提供するには民間が宇宙開発に参入する必要があるが、ロケット打上や衛星開発は100億単位のコスト、規模が大きすぎて参入できる企業はない。
 宇宙開発を小型化、すなわち衛星とロケットの小型化を進め低コスト化を図ることが民間(中小企業)参入の要件。

 衛星の小型化は大樹町の「北海道衛星」のように進んでいる。
 しかし、小型の衛星を打ち上げる専用の小型ロケットがない。なぜ無いかというと液体ロケットは仕組みが複雑で小型化できない、固体ロケットは小型化しても火薬の管理費などで低コスト化できない。
 火薬を使わない小型ロケットが出来れば、民間の参入が可能になる。

 このような意味で、われわれは火薬を使わない小型ロケットの開発に取組んでいる。
 開発しているロケットの推進剤はプラスチックと液体酸素、プラスチックは1kgあたり百数十円、液体酸素は1リットルあたり200円程であり、火薬に比べて100〜200分の1で済む。
 機体も町工場で製造可能であり、充分に中小企業の参入が可能なものである。

 プラスチックを燃料とする方式は昔からあったが、燃えるのに時間がかかり、推力が出なかった。CAMUIロケットは燃料を多段式にして早く燃やしきることに成功した。

 CAMUIロケットは今後大型化し、2段・3段式へと発展させる。また、サブオービタル飛行機ロケットプレーンなどに積み込んで高空から小型衛星を軌道に投入するシステムも開発する予定。

 ロケットの小型化、低コスト化で宇宙ビジネスを民間のものにし、日本の宇宙開発を発展させたい。 
 北海道大学大学院永田助教授

 ハイブリッド・ロケットの構造
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